ものには、なんでも「5本の指」というのがあるそうです。
あそこの寿司屋は日本でも「5本の指」に入るうめぇ店だ、とか。
あの選手はパリーグでも「5本の指」に入る名投手だ、とか。
ここのみかんは和歌山でも「5本の指」に入るおいしいみかんだ、とか。
そこの歯医者は町内でも「5本の指」に入る名医だ、とか。
そんな歯医者の多い今日この頃ですが、
日本の昔話にも「5本の指」というのがあるそうで、
桃太郎、さるかに合戦、カチカチ山、竹取物語、
そして今回ご紹介する「はなさかじいさん」が、それに当たるそうです(間違っていたらすみません)。
「さるかに」以外は、「昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがすんでいました」で始まる「美しい国、日本」の伝統的“高齢者礼賛スタイル”です。
今や、至るところにおじいさんとおばあさんが棲み、所によってはおじいさんとおばあさんしか棲んでいない高齢社会・日本。
息が短かったのは安部前首相だけだったのでしょうか。
まぁ、、もう古い話です。
さて、その「はなさかじいさん」。
「ここ掘れ、ワンワン」や「枯れ木に花を咲かせましょう」等の名ゼリフとともにみなさんもご記憶でしょう。正直者のおじいさんが、枯れ木に灰を撒いたら、花がぽんっぽんっと咲き乱れるっていうおなじみのアレです。
ところで、誤解されていることが多いのが、この「灰」。
意地悪じじいに殺された犬(通称、シロ)の遺灰だと思っていらっしゃいませんでしたか?
かく言う僕もすっかり勘違いしておりました。
正しくは、これ、シロの形見の臼を燃やした灰です。
はて、形見の臼?そんなん出てきたっけ?
と思われる方も多いかと存じますので、物語を振り返ってみたいと思います。
(前略)
大判小判を掘り当てたシロと正直じいさん。それを見て、隣の意地悪じじい(以下、隣人)は嫌がるシロを無理矢理借りて、山へ行きます。
シロが足を止めたので、隣人がそこを掘ったところ、出てきたのは蛇に百足にひき蛙。怒り狂った隣人はシロを撲殺。今やキレるのは、若者だけの特権ではありません。
その後、死体発見を恐れたのか、隣人はシロを山に埋めます。しかしここで隣人は奇妙な行動にでます。シロを埋めたその場所に柳の枝を突き立てたのです。憎き奴でも墓標を立て、墓を作ってやるという隣人なりの慈悲でしょうか。
それとも、正直じいさん(今や金持ち)への見せしめだったのでしょうか。畜生を大切にする宗教かなにかの関係でしょうか。
どうやら、隣人が死体発見を恐れたというのは、誤読だったようです。というのも、翌日隣人は、正直で働き者のじいさん(今や金持ち)に
「シロは、俺が殺した」
と告げたと言うからです。果敢な隣人。
それを聞いた正直で働き者のじいさん(今や金持ち)は泣きながら、シロの元へ向かいます。
すると、どうでしょう。
一晩しか経っていないというのに、柳は見上げるばかりの大きさに異常生長。正直で働き者でまめなじいさん(今や金持ち)は、その形見の木を切って臼をこしらえるのです。その臼で、何せまめなじいさんは、ばあさん(勿論、金持ち)と米をつきます。
すると、どうでしょう。
またも大判小判が臼から飛び出します。お金はあるところに集まるというのは真理のようです。
それを見た隣人老夫婦は、その臼を借り、米をつきます。すると、今度は糞が飛び出してきます。怒り狂った隣人夫婦は、臼を燃やしてしまいます。
まめな老夫婦(今や大金持ち)は、それを知って涙します。
シロの形見の臼だのに、せめて灰だけでももらってこよう―――
これです。これが、かの「灰」だったのです。
あとは、みなさんご存知のごとく、老夫婦(今や大金持ち)の持ち帰った「灰」は花を咲かせます。
そこにたまたま通りかかったお殿様がそれを見て、老夫婦(今や大金持ち)に褒美を与え、
性懲りもなく、それをまねた隣人夫婦は、花を咲かせることもできず、灰はお殿様にぶちかかり、処刑されました。おしまい
超幸運夫婦が隣に住んでいたことが、彼らの人生を狂わせました。
借りたものは、ちゃんと返さなければなりません。
長くなってしまいましたが、物語の概要は以上です。
さぁ、ここでバイオマス・タイム!
今回の物語の中の森林バイオマスは、先ほどの「灰」です。
うまくまとまったものがありましたので、以下、引用させていただきます。
木炭には2〜3%の灰分(ミネラル・鉱物性栄養素)が含まれている。これらは原木が生長をつづけるために土のなかから吸い上げた養分で、ナラ材のばあい、そのおもなものはカルシウム(約40%)とカリウム(約20%)である。
(中略)
これらの成分は原木(炭材)から木炭にやかれる(炭化される)ことによって、約3倍ぐらいに濃縮され、原木のときと違って水に溶けやすいかたちになることも木炭の灰分の大きな特徴のひとつである。
(中略)
木炭の灰分は、果樹や農作物が生長するのに必要なミネラル(鉱物性栄養素)を補給するのに有効で、とくに畑作やハウス栽培で、同じ品種の作物を連作するばあいに、どうしても鉄、マンガンなど、必要な微量の無機成分が不足しがちになるため、適量の木炭を土に入れてやることによって、土のなかに残留している有害物質は吸着され、不足している微量成分を補給するので、連作障害を防ぐはたらきをすることになる。茶畑やブドウなどの果樹園では、木炭の灰分の効果で収穫量が増えるばかりでなく、味もよくなる例が多い。
枯れ木に灰をまいて花を咲かせたのは『花咲爺』の正直じいさんだったが、灰は樹木にとっても貴重な養分(ミネラル)で、正しく使うことによって土が改良され、木が元気になり、よく生長するということを教えている。ただ、使い方を誤ると、効果がないばかりか、木を枯らしてしまうという意地悪じいさんの失敗例にも見られるように、とくに使用量には注意していただきたい。
木炭も灰もアルカリ性で、農地で使うときは一反当たり三百キロが目安で、使いすぎると、土がアルカリ性になり逆効果となる。
なるほど、勉強になります。いろんな読みがあるものですね。
しかし、今回改めて読み返してみて、こう思いました。
いいよなぁ、おじいさん、超ラッキー。
しかし、当たらんかなぁ、宝くじ…
当たるんなら、
正直者で、まめで、働き者に、なるからさぁ
あさまし、あさまし。
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